手打ちうどんの魅力

手打ちうどん

うどんとは

茹でるうどん

小麦粉で作る食べ物といえばパン、お好み焼き、うどんを思い浮かべるでしょう。パンは発酵させ、焼いて作ります。お好み焼きも焼いて作ります。うどんも焼きうどんがありますが、一旦、茹でてうどんにしてから焼いています。ですから、うどんは茹でて出来上がります。

うどんの形

細長いうどんはソーメンとは区別され茹でた団子とも区別されます。細くとも太くともうどんとは言えず、よく箸の太さと言われます。人間ですから1,2mmの包丁の切る狂いはあるかもわかりませんが、さすがに1cmも狂わないでしょう。うどんの幅は食す人によって異なります。太い麺が美味しいという方や、細麺がいいと言われる方とまちまちです。

長さはどうか。お客さんからうどんが長いと言われ、短くしたことがあります。1mぐらい長いときがあり、やはり、食べにくいと思いました。もちろん短すぎうてもダメです(笑)。

冷たいうどんと温かいうどん

うどんは噛まずに食べるという風に思われますが、噛むと味を感じます。また、温かいうどんを箸で持ち上げて食そうとすると、鼻から湯気と同時に小麦から香りを感じます。そして、もちもち感も味わえます。冷たければ、香りより喉越しを感じるでしょう。コシや弾力は冷たいうどんの特徴です。うどんは冷たいうどんと温かいうどんとでは味わいが変わります。

うどんに適した小麦粉

小麦粉には強力粉、中力粉と薄力粉があります。強力粉はパンに使われ、薄力粉は天ぷら、お菓子に使われます。うどんは中力粉がいいとされます。タンパク量の違いで区分され、小麦粉に水を加えて混ぜるとグルテンが発生します。強力粉はなかなか伸びず、また薄力粉はダラーンと伸びてしまいます。このグルテンを考えてうどんを作ることが一つだと思います。

もうひとつは灰分です。小麦粉を燃やして灰になる量を灰分で表しているようです。小麦粉の表皮に近づくと灰分は多く、胚乳の中心部に近づくと少なくなり、甘味を感じます。お菓子には灰分の少ない小麦粉がつかわれています。灰分が多いとミネラル分も多くなり、健康的にはいいかと思われます。うどんでは灰分が多いとつながりにくいと感じています。また少ないと甘味が邪魔をするように私は思います。

小麦も品種改良され、良質な小麦粉ができるようになりました。うどんに使われる品種でいえばホクシン、南部小麦、農林61号、イワイノダイチ、さぬきの夢2009、チクゴイズミなどです。同じ品種でも製粉会社によってタンパク量も灰分も違ってきます。どれがいいかは試してみるしかありません。

品種改良されて良質な小麦が作られていますが、小麦粉に加工デンプンやタピオカを加えたものが、最近、でまわって来ました。作り手が使いやすいという配慮から作られたものだと感じます。透明感があったり、もちもち感、伸びがあったり、茹でて長時間おいても茹で伸びが少ないという噂です。でも、小麦粉独自の香りは薄れるのは当然です。

オーストラリア産ASWの小麦粉がうどんにいいということを聞きます。オーストラリアは麺など食べないと思いますが、品種改良によって日本の麺用に適した小麦粉を作って来ました。また国産小麦粉も品種改良が進み、香川県産のさぬきの夢2009が産まれました。オーストラリア産は船で赤道直下を通って来るので農薬を振りまいて運ぶというのを聞いたことがあります(ポストハーベスト)。本当かどうか、定かではありませんが私は使用しません。

自分が作った手打ちうどんが美味しいと思うのは

スーパーに行くと茹でうどんが袋に入って売っています。これがうどんだと思っています。これらのうどんは茹でて時間がたったうどんです。それは、もう美味しくありません。昔はうどん屋でも、茹でて置かれたうどんを使用しているところが多くありました。香川の讃岐うどんは店で作って茹でて出すという本格的な手打ちうどんです。讃岐うどんブームで、うどんの美味しさを再認識された方が多かったのでは・・。手打ちうどんを、一度自分で作られてみればわかると思います。作って茹でて、すぐに醬油でもかけて食べればどれだけ美味しいか。うどんは作って置かれたうどんは美味しくありません。15分も置いておくと、もうコシがなく、ふやけたようなうどんです。自分が作ったうどんはどれだけ美味しいか!

機械で製粉した小麦粉と石臼式で製粉した小麦粉

スーパーなどで売られている小麦粉は機械で製粉されたものが多いです。機械で小麦を割り、中の胚乳部をとって作られます。甘くて白い小麦粉です。ところがミネラル分は少なくなります。

石臼式の場合は石臼で砕かれて粉になっていきます。胚乳部以外のものも粉になるのでミネラル分は残ります。でも、喉越しがどうかという問題が出てきます。昔懐かしいうどんなのですが、今では喉越し、ツルツル、白色が一般的なので、ちょっと抵抗があると思います。

何を感じてうどんにするか。その作り手の想いにかかっているということだと・・・。小麦粉なんて、どれでもいいというのでなく、何を目的としてうどんを作るか、小麦粉を扱う作り手の想いがあらわれます。うどんの魅力は奥深いと・・・。

うどんだけで食べるなんて・・

小さいころから大阪育ちでしたから、うどんは汁と一緒に食べるものと思っていました。うどんを、そのまま食べるなんて味もなんもないし、うどん同士がくっついて粘っこいし・・・。時うどんという落語でも「うどんちゅうのは、少々粉が悪うても出汁が肝心や・・」てなこと言うて食べる場面があります。出汁が肝心という頭がありました。

しかし、讃岐うどんに出会ってからは180度転換いたしました。饂飩さえよかったら、醬油さえあれば食べれると・・・。茹でたてのうどんに出くわしたことがなかったからだと思います。いつも食べていたのは時間がたった伸びたうどんでした。弾力性もなく、香りもなく、そういうのがうどんだと思っていました。茹でたてを冷たく〆たうどんのコシは、なんとも言えません。また、茹でたてでアツアツのうどんに卵をのせて食べる釜玉うどんも美味しいです。このような食べ方を知ったのは香川の讃岐うどんからです。値の高い牛肉をのせなくても、大根と醬油があれば美味しいうどんが食せます。釜揚げうどん、しょうゆうどん、釜玉うどんなどシンプルが故に美味しさがあります。

ところが、今では牛肉をのせて、鶏天、いくら、極盛りで競い合っています。うどんは糖尿病になるとか、香川がワースト・ワンらしいですね。野菜を添えて健康に気を付けてメニューを考えてみるのも大切だとも思います。

糖尿病はうどんだからなるのでしょうか。パンはどうでしょう。朝、パンを食すことが多いと思います。簡単便利だからパンにバター、牛乳、ソーセージなどで食べるとどうかなと思います。うどんはおにぎり、ご飯と食べるのが良くないようです。おでんのこんにゃく、大根などを添えて食べ、野菜をとり、食べすぎない、そして、運動不足にならないことだと思います。

小麦粉のグルテンって?

小麦粉のグルテンって何?別に、そんなの知らなくてもうどんは打てます。でも知っておくとなぜそうなるかがわかります。それを知ることで手立ても考えられます。小麦粉にはタンパク質、灰分がありますがデンプン質も重要です。グルテンにはグリアジン、グリアニンが大切でグリアジンはひっぱたりする力、グリアジンはネバネバのようなものかなと思っています。うどんの弾力性、もちもち感をどう出すか。これは難しいところです。グルテンがどうのこうのって言ったところでわからないと思います。作ってみるしかありません。作ってどう判断するか。自分が作ろうとするうどんに向かって、その最短方法は見つけられると感じます。捏ねにムラがあるとか、寝かし、温度、湿度、塩加減、加水率、小麦粉の特性などが考えられます。

うどんに適した小麦粉はたくさんあります。例えば、農林61号、ホクシン、さぬきの夢2009、南部小麦、チクゴイズミ、ネバリゴシなどがあります。自分が作るうどんには、どの小麦粉が適しているかを作って確かめるしかないと思います。数字である程度予想を付け、これならという小麦粉を選択することだと思います。私は一つでは難しいと考えてブレンドしていますが、これがいいかどうかはわかりません。今のところ、これがベストだと思っていますが、変わることは当然あります。

さぬきの夢について

さぬきうどん用小麦粉香川県産さぬきの夢2000は品種名香育7号で、さぬきの夢2009は香育21号に品種改良されたものです。さぬきの夢2000もさぬきの夢2009も商品名が統一され、さぬきの夢となったそうです。これからは「さぬきの夢」という小麦粉でいい表わされます。

うどんの美味しさと小麦粉

うどんは小麦粉で作られ、この小麦粉によって味も異なります。私はネバリゴシが最高だと思っていますが使っていません。何故か、お客さんから硬いという一言からあきらめてしまったのです。このことに悔いはなく、より美味しいうどんを考えてきたからだと思います。私にとって相性の悪い小麦粉は農林61号、チクゴイズミです。この二つは全国的に見ても最高レベルです。でも、いい小麦粉でうどんを作っても、自分の好きな味になるかどうかはわかりません。ですから、いろんな人が考え、作られているから、うどんの味も一律ではありません。だから、手打ちうどんは魅力的だと・・・。

加工デンプンやタピオカ粉を混ぜたりする小麦粉があるようです。私は、これには反対です。特に加工デンプンは食品添加物です。美味しいを追求するがゆえに、自然というものが見えなくなったからだと思っています。

うどんの色

うどんは白色と思われますが、なんとなく色が付いています。小麦粉は白色でも、水分を含むと黄色を帯びた色になります。茹でても、ちょっと色が付いています。小麦の胚乳部に近いものほど白色をして表皮を含むと茶色に傾きます。全粒粉を入れると茶色になります。石臼挽きや水車で作った小麦粉でうどんを作ると色が付いています。食す側は色は白に近い色を好むようです。昔懐かしい味、香りを好むと石臼式の方になります。デンプンを加えると、少し透明感のあるようなうどんになり、このようなうどんが好まれているのも確かなようです。

全粒粉を加えたうどん

全粒粉は小麦の表皮も入った粉です。表皮が入ると粒が粗くなり、グルテンも低くなるのではと思います。一般の小麦粉は小麦の中心である胚乳部で作られ、ミネラルや食物繊維が少なくなります。全粒粉は表皮も入るので食物繊維やミネラルが豊富になります。ミネラル、食物繊維が多いのなら、全粒粉でうどんを作ればいいということも考えられますが、実際作ると、雑味があり、喉越しが良くないので食べにくくなります。全粒粉100%といううどん難しいと感じます。よほどきめの細かい全粒粉でないと美味しくないでしょう。

全粒粉も品種や気候によっての変化、製粉の仕方によって異なりますが、うどん作りに、どれぐらい加えられるのか試してみました。

全粒粉60%までは美味しくいただけました。

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写真:全粒粉60%うどん

全粒粉70%うどんは雑味がわかり、ちょっとざらついた感触、喉越しが結くない感じがします。

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写真:全粒粉70%うどん

70%を超えると全粒粉の雑味と喉越しが悪くなります。90%以上だと伸びはなく、引っ張ると千切れる感じです。いくら食物繊維やミネラルが豊富といってもうどんとしては限度がある感じです。

うどん用の小麦粉に全粒粉を、少し加えるということもいいのではと思います。胚乳部の白くて甘いうどんに全粒粉を10%前後加えることで、小麦の香り、食物繊維やミネラルが加えるというのは試してみる価値があるのではないでしょうか。

シンプルなメニュー

うどんのメニューにはいろいろあるとして、シンプルなメニューとすればかけうどん、醬油うどん、釜揚げうどんと思います。かけうどんはかけ汁が大切で汁まで飲みほせるような汁が基本だと感じます。味に敏感な方は化学調味料では飲み干せないでしょう。独特の味があります。やはり、健康を考えれば自然の昆布、かつお節、イリコでとるのがいいでしょう。かけうどんは、このかけ汁が難しいのです。醬油うどんは出汁醬油だったり、生醬油を使ったりします。このままでは醬油辛いので大根おろしを添えたり、レモン、柚子を絞ったりして、さっぱりさせて食すことが多いです。釜揚げうどんはつけ汁にしょうがを入れて食すので、しょうがに合うような工夫が必要です。甘くても、醬油辛くてもダメです。出汁が邪魔せずに香るような汁がいいと思うのですが、難しいですね。

うどんは手打ち

手でうどんを作る手打ちうどん。決して機械ではない味があると思わせるので手打ちにこだわります。機械は簡単に量を成し遂げますが、美味しいうどんができるとは限りません。人間より強い力を加え、速度も速くすることはできますが人間の技能の部分はできません。一部分の動きを連動して作っていくことはできますが、人間は粉をみて。塩水を加え、最後は包丁で切ります。これらの動きを一連の動きとして体を使い、道具を使います。

うどんの材料は小麦粉に塩と水

最近、加工デンプンやタピオカを入れたりしますが、小麦粉の臭い、味を大事にしているので入れません。

小麦粉

新しい 小麦粉の袋を開けるとき、それは新鮮な感じを受けると思います。目で色をみて、臭いをかいだりします。家庭用だったら1kg入りですが、業務用は25kgの袋入りです。さすがに重たい。10kgの袋入りにならないのかと思うのですが(笑)。袋から取り出した小麦粉は玉になっていることがありますので篩にかけます。玉になっていると水分がうまくいきわたりません。小麦粉をブレンドするときは、もちろん、粉の状態で混ぜておきます。

塩は粗塩がいいと思います。アジ塩、食塩とかはよくないです。うどんを茹でると、ほとんど塩は抜けます。うどんも、少し塩味が効いているほうが美味しいと感じます。

水は飲んで美味しいもの。これが一番です。私は21mから地下水を汲んで作ります。

水回し

うどん作りに水回しという技があります。
塩水と小麦粉を混ぜて、馴染ませる。あるいは行き渡せるという水回しです。
この水回しの最後に答えが出るのは加水率です。加水率は小麦粉に対して、どれくらいの塩水かということです。これで、ほぼうどんの良し悪しが決まるといっても過言ではないと私は思っています。
塩水の方向へ小麦粉をかぶせ、混ぜていき、玉にならないようにする。すべての小麦粉に塩水をいきわたらせるのです。そうしないと、ムラができ、加水率が狂うのです。要は加水率です。塩水は加えることはできても、引くことはできません。少しずつ加えていきます。
最初は、指先で力を入れずに混ぜ、手のひらは綺麗ままです。なぜなら、力を加えないからです。人間は指を合わせると力が入ります。ですから指と指を拡げるのです。そうすることによって小麦粉に力が加わらずに玉になるのを防ぎます。そして、徐々に手のひらも加わります。その時は、塩水は小麦粉に交わり、さほど汚れません。最初は指先、そして終わりに近づくと手全体で小麦粉にムラなく塩水を浸透させるのです。
時には、ぐるぐる混ぜたり、両手で小麦粉をぶつけたり、両手を合わせたり、方法はあります。私はきりもみ式の火起しの要領でします。両手でこすり合わせ、素早く拡散させる方法です。わたしは、この方法を最後のほうで行い、塩水をいきわたらせています。
目で見て小麦粉の色をみて、白色から肌色へと塩水を含むと変化します。そして塩水が行渡っていないところは粒ではなくて粉なのです。粉ではムラができ、固いという感じのうどんになります。最後の一瞬をどこでどうみるかにかかっています。これは機械ではできません。人間の業です。

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