名水へ


昔は・・・

「えーっ 綺麗な水 やだね どこの水でも飲めらぁ」
「違うんだよ それが」
「どう 違うんだよ」
「そう このことを話すには 昔を考えていかにゃ」
「昔? ちゃんちゃら おかしいね 言ってくれよ その代わり俺は気が短いよ」
「わかった 実は」
「そう実は・・大体ね 俺って性分は気が長く見えて短いんだ」
「おい おい言えねえよ」
「家がなかったら 今のホームレスって まあ社会問題で」
「喋れないって言ってんだ」
「口がねえのかい」
「お前がごちゃごちゃ言うからさ 昔は炭や蒔きで火を焚いて食事を作ってた」
「懐かしいね あのD51の機関車の煙 郷愁をさそうね」
「そうだな そんな時代から 今や電気 ガス ガソリンは他国から輸入する」
「炭で魚やもちを焼いてたな 火鉢があってよ こうもちが膨らんできたら ぷっつーうんと箸でついてやんの そしたらよ 負けちゃったという感じでしょぼーんとなりやんの」
「炭の原料になるのは広葉樹 もう使わなくなってきたんで 針葉樹を植えてしまう」
「はあ 松 杉なんて針葉樹ですね」

木々


「山の姿の移り変わり」
「広葉樹とは」
「ぶなの樹は葉を一杯つける それが地面に落ちて腐葉土となる」

ブナ


「それが水とどういう関係が」
「雨が降って その腐葉土を通って地下水 湧き水になる」
「自然ろ過ですな」
「そうじゃ」
「美味しい水 うーん飲んでみたいね 同じって思うけどよ」
「しかし 違うらしい ミネラルが違うらしいぞ」
「ミ ミ ミネラル」
「鉄分もそうやろな」
「ミラクルですな まあ 面白いじゃ ありませんか 探してきます」
「何を」
「美味しい水を」
「なかなか ないんじゃないかな」
「まかしときなって 行ってくらぁ 俺の商売道具のかばんっと・・ほんじゃあね」

寅さん